アンティーク チェスト(設計図入れ)


アンティーク チェスト(設計図入れ)

アンティークの商品には、一つ一つに歴史があります。その商品の由来や由緒についての蘊蓄を語れることもありますが、大抵は本当に有名な逸品の場合に限られてしまいます。
さて、このチェスト、写真で見ると何の変哲もありません。ただ、高さが腰の高さ程度(90cm)しかありませんので、引き出し1段の高さは薄いことがお分かりいただけると思います。

この薄い引き出しに入れられていたものは、商品名の通り、設計図です。
では、どのような設計図が入っていたか想像できますか?
実は、このチェストは英国のジャックナイト社(Jack Knight Development)で使われていたものです。
ですから答えは、自動車(のパーツ)の設計図です。
こういう事情もあるので、今回は、このチェストを「オートモビリア」にも入れてしまいましょう。

さて、ジャックナイト社は「マーズスピードの話」でも度々、登場してきます。
1940年代にJack Knight氏が設立した会社で、1960年代にはフォーミュラ・クーパー(Cooper Car Co)のギア・ボックス、ワークス・ミニの4速・5速ギア・ボックス(1960年代)を手掛け、1980年代にはフェラーリ以外の全てのF1コンストラクターにステアリング・サスペンション・ギアパーツ(1980年代)を開発・供給していました。また、ジャガーXJ220のステアリング・サスペンションも同社によるものです。

マーズスピードの関わり合いとしては、やはり、ミニにツインカムエンジンを載せたジャックナイト ツインカムです。
残念ながらジャックナイト社は既にありませんが、ツインカム・エンジンのモールド(型)の権利は英国マーズ・スピードにあります。(「ツインカム シリンダーヘッド」の記事も参照してください。)

さて、肝心の商品ですが、オークのソリッドで、とてもしっかりしたものです。
オークのソリッドですから非常に重く、上下2段に分けて運べるようになっています。
入れていたものが設計図ですから、当然と言えば当然なのですが、引き出しが浅いのが特徴です。
引き出しの「うちのり」は、幅 107.8cm × 奥行き 74.5 cmですので、
B1判(72.8 cm × 103.0 cm)にちょうど良い大きさです。
あるいは、マット付きのA1判(594 cm × 841 cm)も、良い感じに納まると思います。
もちろん、マットの大きさにもよりますが。

元が設計図入れということで、単純に紙を入れることを想定してしまいましたが、
この大きさで引き出しが浅いチェストも珍しいので、アイディア次第で面白い
使い方がありそうです。