イギリスの話 “不動産”


イギリスの話 “不動産”


プロパティー ラダー

プロパティー ラダーは「不動産の梯子」とでも訳したら良いのでしょうか。要は、ライフ・ステージに合わせて不動産を渡り歩くことです。例えば、学生あるいは単身のときにフラット(日本の分譲マンション)を買い、結婚して一回り大きな家に買い替え、子供が生まれれば寝室数の多い物件に買い替え、子供が増えれば更に寝室数の多い物件に買い替える、という具合に、ちょうど梯子を上がるかのように不動産を大きくしていくことです。最終的には、子供たちが大きくなって巣立った後、夫婦2人きりになると、また、小さな家に移り、そこで得た利益で老後を暮らすことになります。
このようなプロパティー ラダーは英国では一般的ですから、当然ながら家を買ったり、売ったり、引越ししたりすることは日常茶飯事なのです。

プロパティ チェーン

「梯子」の次は「鎖」です。ただ、日本語では「鎖」よりも「玉突き」の方がピンとくるかもしれません。
まず、住み替えをしたがっている人が複数いたとします。その中の一人が、契約成立時に荷物を新居に運び入れようとしたとしても、そこに未だ先住者が居ると引越しできません。その先住者もさっさと引っ越したいでしょうが、引越し先の家が片付いていないと行き様がありません。つまり、順番をきちんと整理してからでなければ、引越しもできないのです。さらにこれが不動産の売買契約になると大変です。不動産を渡り歩く場合には、「売ってから買う」ことが前提になります。このため、売買を成立させられない不動産が1件でもあると、その影響が他の物件の取引にも及んでしまいます。例えば、「買う家は見つかっているのに、自分の家がまだ売れない/ローンがおりない」とか、「自分の家は売れているのに、欲しい家が見つからない」という状況が考えられるのですが、英国では5~6件のチェーンがあることはざらで、ひどいときには10件以上もつながっていることがあります。最悪の場合は、チェーンでつながっているうちの一つでもキャンセルされてしまうと、それ以外の全ての売買が破談になってしまうのです。

不動産事情

建築許可に関しては、日本と英国とでは、全く違います。日本の場合、土地を購入するに当たって建ぺい率や容積などが決められており、それに従って建物を建築したり、改築することになります。しかし、英国の場合、カウンシル(地方自治体)によるプランニング・パーミッション(許可)が必要です。まず、カウンシル(地方自治体)に、プランニング・アプリケーション(申請)を提出します。それが受理されると、カウンシルは近隣の住人たちに申請があったことを通達する一方、申請者は所有している土地または家の前の目立つところに1ヶ月ほどの決まった期間、申請内容を明記したオレンジ色の紙(下の写真)を張らなければならないのです。そして、議会にかけられ、申請の許可をおろすかどうかが決められるわけですが、この許可を取るための条件というのも厳しく、1度や2度の会議で審査が通ることは少なく、かなりの時間がかかるのが現状です。ですから 、土地を買っても、家を建築できるかどうか、または増設・改築できるかは、一種の賭けでもあるのです。
なお、日本では築年数が古いほど、価値が下がっているのが現状ですが、英国の場合には、それぞれの建築様式(例えば、ジョージアン様式、ビクトリアン様式、エドワディアン様式、チューダー様式など)にそれぞれの価値があるので、築年式は全く関係ありません。
1960年代の家なども「モダン」と分類分けされているくらいです。また、Listedという格付けがある建築物はオリジナルの材質・スタイルを保たなければならなく、メインテナンスも、その費用も大変ですが、それでも人気があります。

イギリスの話 “不動産”

プロパティー ラダー

プロパティー ラダーは「不動産の梯子」とでも訳したら良いのでしょうか。要は、ライフ・ステージに合わせて不動産を渡り歩くことです。例えば、学生あるいは単身のときにフラット(日本の分譲マンション)を買い、結婚して一回り大きな家に買い替え、子供が生まれれば寝室数の多い物件に買い替え、子供が増えれば更に寝室数の多い物件に買い替える、という具合に、ちょうど梯子を上がるかのように不動産を大きくしていくことです。最終的には、子供たちが大きくなって巣立った後、夫婦2人きりになると、また、小さな家に移り、そこで得た利益で老後を暮らすことになります。
このようなプロパティー ラダーは英国では一般的ですから、当然ながら家を買ったり、売ったり、引越ししたりすることは日常茶飯事なのです。


プロパティ チェーン

梯子」の次は「鎖」です。ただ、日本語では「鎖」よりも「玉突き」の方がピンとくるかもしれません。
まず、住み替えをしたがっている人が複数いたとします。その中の一人が、契約成立時に荷物を新居に運び入れようとしたとしても、そこに未だ先住者が居ると引越しできません。その先住者もさっさと引っ越したいでしょうが、引越し先の家が片付いていないと行き様がありません。つまり、順番をきちんと整理してからでなければ、引越しもできないのです。さらにこれが不動産の売買契約になると大変です。不動産を渡り歩く場合には、「売ってから買う」ことが前提になります。このため、売買を成立させられない不動産が1件でもあると、その影響が他の物件の取引にも及んでしまいます。例えば、「買う家は見つかっているのに、自分の家がまだ売れない/ローンがおりない」とか、「自分の家は売れているのに、欲しい家が見つからない」という状況が考えられるのですが、英国では5~6件のチェーンがあることはざらで、ひどいときには10件以上もつながっていることがあります。最悪の場合は、チェーンでつながっているうちの一つでもキャンセルされてしまうと、それ以外の全ての売買が破談になってしまうのです。


不動産事情

建築許可に関しては、日本と英国とでは、全く違います。日本の場合、土地を購入するに当たって建ぺい率や容積などが決められており、それに従って建物を建築したり、改築することになります。しかし、英国の場合、カウンシル(地方自治体)によるプランニング・パーミッション(許可)が必要です。まず、カウンシル(地方自治体)に、プランニング・アプリケーション(申請)を提出します。それが受理されると、カウンシルは近隣の住人たちに申請があったことを通達する一方、申請者は所有している土地または家の前の目立つところに1ヶ月ほどの決まった期間、申請内容を明記したオレンジ色の紙(下の写真)を張らなければならないのです。そして、議会にかけられ、申請の許可をおろすかどうかが決められるわけですが、この許可を取るための条件というのも厳しく、1度や2度の会議で審査が通ることは少なく、かなりの時間がかかるのが現状です。ですから 、土地を買っても、家を建築できるかどうか、または増設・改築できるかは、一種の賭けでもあるのです。
なお、日本では築年数が古いほど、価値が下がっているのが現状ですが、英国の場合には、それぞれの建築様式(例えば、ジョージアン様式、ビクトリアン様式、エドワディアン様式、チューダー様式など)にそれぞれの価値があるので、築年式は全く関係ありません。
1960年代の家なども「モダン」と分類分けされているくらいです。また、Listedという格付けがある建築物はオリジナルの材質・スタイルを保たなければならなく、メインテナンスも、その費用も大変ですが、それでも人気があります。