ウィンチェスターの街


Mar’s Speedグループの本拠地は,英国の古都ウィンチェスター(Winchester)にあります.
ウィンチェスターと言っても日本では余り馴染みがないかもしれません.
この名前を出すと,大抵の方は西部劇に出てくるライフル銃を思い浮かべるようです.
でも,あれはアメリカの銃製造会社の名前で,この町に直接関係がある訳ではありません.

では,ウィンチェスターをご存知ない方のために,少しご説明いたしましょう.場所はロンドンの南西,車で約1時間ほどの所.ハンプシャー州の州都.そして,ロンドンのベッドタウン.でも,英国では,観光地そして学園都市として有名な町なのです.

まずは学校についてです。ウィンチェスターには卒業生の大部分がオックスフォード,ケンブリッジに進学する名門校ウィンチェスター・カレッジがあります.この学校は1382年に設立された英国最古のパブリック・スクールで,ウィンチェスターの歴史の長さを物語るものです.

では次に,そのウィンチェスターの歴史についてご紹介しましょう.ウィンチェスターの歴史は,英国の歴史を端的に表すものなのです.ウィンチェスターの起源は紀元前 約450年.ケルト族が集落を作った古代の昔に遡ります.
そして,紀元前150年にはベルギー族がここに貿易センターを作ります.
その後,紀元後70~410年まではローマ帝国の支配下に入り,ブリタニア軍団の宿営地となります.実は,「ウィンチェスター」の「チェスター」は「軍団野営地」という意味なのです.除隊後のローマ兵の多くは,この地に留まったと言います.

しかし,西暦348年にローマ帝国の勢力が衰えたのを好機と捉えたブリタニア軍団の将軍マクシムスは,既に分割統治されていたローマ帝国に戦いを挑みます.そして,西ローマを統治していたグラティアヌス帝を破りはしたものの,東ローマのテオドシウス帝(一時的に東西ローマを再統一.彼の死後,ローマ帝国は完全に東西に分裂.)に敗れて斬首.ブリタニア軍団は消滅しました.410年にはブリタニア軍団の名残である守備隊も引き上げます.そして,暗黒時代と呼ばれる無法の200年が続きます.アーサー王と円卓の騎士伝説が醸成されたのは,ちょうどこの時代だと言われています.

そして,次にウィンチェスターが英国史に登場するのはサクソン王の時代です。アルフレッド大王は821年,ウィンチェスターを首都と定めました.このため、現在でもウィンチェスターの出入り口には,統治1000年を記念した大王像が建っています.

やがて時代が変わります.現在の英国王室の始祖であるウィリアム征服王がヘイスティングスの戦いに勝利し,1066年,ウィンチェスターに宮殿を築き,ゴシック様式の有名な大聖堂の建立が始まります.首都にはロンドンが選ばれましたが,閑静ではあるものの都市機能を備えたこの地が学園都市としてこの地が選ばれたのも,分かるような気がします.また,皇室・貴族が訪れることも多かったようで,英国の歴史にウィンチェスターは度々登場します.

しかし17世紀の宗教改革,清教徒革命の際には受難が続いたようです.それでも1665年,チャールズ2世の手で修復が始まり,町の姿は回復しました.