ロイヤルドルトン(Royal Doulton)


ロイヤルドルトン(Royal Doulton)は英国を代表する磁器メーカーで、
現在はWWRD Holdings Ltdの一翼を担う会社となっています。
この「WWRD」というのはWedgewood、Waterford CrystalとRoyal Doultonのことで、
社名を聞いただけでも凄いのですが、Royal Doulton一つをとってみても
Royal AlbertとMintonを傘下に収めていますので、このホールディングス・カンパニーが
英国のその手の製品を全て牛耳っていると言っても過言ではないのがお分かりいただけると思います。
(なお、Royal Crown Derbyも以前はRoyal Doultonの傘下にありましたが、
同時期に製造工場が閉鎖されてしまいました。同社はその後、
Hugh Gibson and Pearsonに移り、そこから製造が再開されています。)

さて、そのロイヤルドルトン(Royal Doulton)ですが、1815年の創業です。
創業時にはストーン・ウェア(stone ware:磁器と陶器の間のような焼物)を専門に扱い、
我々が普通に「陶磁器」と聞いて思い浮かべるような製品のほか、ボトルやsalt grazeという
陶磁器の一種でできた下水管を製造していました。
創業者はジョン・ドルトン(John Doulton)のほか、マーサ・ジョーンズ(Martha Jones)と
ジョン・ワッツ(John Watts)の3人でしたが、最も功績が大きかったからなのでしょうか、
1853年に社名は「Doulton」となります。

その後、2代目のHenry Doultonが業績を大きく伸ばします。
そして、1871年にロンドンのランべスに工房を創設し、そこから芸術性も飛躍的に高まっていきました。
なお、このランベスでは、環境の面から大都市ロンドンで窯業を続けることはできなくなる1956年まで
製造が続いていました。

一方、今の生産拠点であるスタッフォードシャーのバースレムでの製造が始まったのは1882年です。
このバースレムは「The Potteries」として知られています。そこにRoyal Doultonのほか、Spode、
Wedgewood、Mintonという有名な会社が集まっているからで、同地域はClarice Cliff、 Susie Cooper、
Charlotte Rhead、 Frederick Hurten RheadやJabez Vodreyといった著名なアーティストを
輩出した場所でもありました。

さて、同社での製品の芸術性が上がるにつれ、同社の製品は英国王室にも知られるようになりました。
そして、1901年にエドワード7世からRoyal Warrant(英国王室御用達)が売られました。
(「売られる」で間違いないです。単に与えられるものではなく、上納金が必要なようなので。)
そこから、Royal Doultonを名乗ることができるようになりました。

では、最後に、同社のバックスタンプをご紹介します。
デザインで、概ねの製造時期を知ることができます。

1882~1902年
ロイヤルドルトン バックスタンプ1882-1902初期のバックスタンプです。デザイン名が中に盛り込まれています。(この画像の場合、「ROUEN」。)
「England」の記載が1891年以降に加えられます。
また、宝冠のマークが加えられるのは1886年以降です。


1882~1902年
ロイヤルドルトン バックスタンプ1882-1902バースレムで製造された製品のバックスタンプです。基本的にランベスで製造された製品のバックスタンプと同じで、違いは製造場所の「LAMBETH」と「BURSLEM」です。なお、「ENGLAND」の記載は1891年以降に加えられました。


1886~1902年
ロイヤルドルトン バックスタンプ1886-19021882~1902年のものと同様のデザインですが、宝冠が加えられています。「HRH The Price of Wales」御用達の証です。「ENGLAND」の記載は1891年以降に加えられました。


1902~1922年
ロイヤルドルトン バックスタンプ1902-1956-2エドワード7世からのRoyal Warrantの証として使用されたバックスタンプです。小ぶりの製品には、ライオンや王冠の印はなく、丸いマークだけが使われていました。


ロイヤルドルトン バックスタンプ1902-1956-1バリエーションとして、王冠なしのパターンもありました。


1923~1927年
ロイヤルドルトン バックスタンプ1923-27このパターンのほか、王冠付きのものもあります。


1932年~ (1928~1931年)
ロイヤルドルトン バックスタンプ1922-19561932年以降に使われたバックプリントですが、1928~1931年にも一部の製品に使われていました。また、現在も一部製品に使われています。


1973年~
ロイヤルドルトン バックスタンプ1928-1959今も使われているバックプリントです。

そのほか、1928~1973年にかけて、マークの下に「BONE CHINA」、「FINE BONE CHINA」あるいは「ENGLISH TRANSLUCENT CHINA」と記載されている場合があります。