「パット・モス(Pat Moss) トロフィー」
今日は特集ではなく、一つの商品のご紹介です。
⇒パット・モス(Pat Moss)トロフィー
商品の中には、色々と調べてみないと分からないものが多々あります。
この商品も見た目はただのトロフィーで、しかも、Pat Mossという知る人ぞ知る
女性ドライバーの名前が書かれています。さて、何でしょう。
まず、Pat Moss。F1のスター・ドライバーであるスターリング モス(Stirling Moss)を兄に持つ、1934年生まれの女性ドライバーです。彼女自身、優れたドライバーで、European Ladies’ Rally Championに1958年~1965年の間に5回、優勝しています。
特筆すべきはMini Cooperによる活躍です。1962年のNetherlands Tulip Rallyを彼女はMini Cooperで制しましたが、これがMini Cooperにとって国際ラリー選手権での初めての勝利でした。
一方のInvalid Tricycle Associationは、「傷病者三輪自動車協会」と訳すようです。現在の「英国障害者モータリング(Disabled Motoring UK)」という組織の前身の一つで、同組織は障害者の福祉向上のなかでも特に自動車関連の問題に取り組んでいます。この点、英国では様々な意味でmotorizationが進んでいることが実感できます。
恐らく、世界に先駆けて進んだmotorizationと、第二次世界大戦の傷跡が、この「傷病者三輪自動車協会」を生んだのだと思われます。1947年、兵役中に車椅子生活となったデニー・デンリー氏は、最高時速30マイルの三輪ガソリン自動車で、1,500マイルのアルプス越えを果たしました。この様子はBBCで報道され、大きな反響を呼びました。これが契機となり「傷病者三輪自動車協会(Invalid Tricycle Association)」の発足へと繋がりました。
残念ながら、Pat Moss Trophyが何の賞なのかまでは調べることはできませんでしたが、自動車レースのヒロインである彼女の名前が冠されたトロフィーがあっても、何の不思議もありません。
障害を持っていても、いえ、障害を持っているからこそ、自動車は大切なパートナーになるはずです。でも、我々日本人の意識は未だ英国人には遠く及ばないようです。今、ちょうどロンドンではパラリンピックが開催されています。我々の生活と自動車について改めて考えてみる良い機会かもしれません。