ホーリックス ミキサー(Horlicks Mixer)


Horlicks Mixer (ホーリックス ミキサー)
この商品、「ホーリックス ミキサー(Horlicks Mixer)」と言います。
原理は単純です。ガラス製の容器に、穴のあいた棒付き円盤を入れ、それを上下に動かすだけです。単なる撹拌器ですね。で、撹拌されるものが牛乳に入れられた「ホーリックス」。
では、この「ホーリックス」というのは何かご存知ですか?
それは、日本では販売されていないようですが、英国をはじめ、南アフリカ、ニュージーランド、インドといった旧英連邦のいくつかの国で販売されている麦芽飲料です。
この麦芽、英語でモルト(malt)と言います。「モルト」と聞くとビールやウィスキーを連想する方が多いかもしれませんが、本来は水飴です。大麦や小麦を水に浸し、芽を出させると種の中のデンプンが分解されて糖になるのですが、これを搾ると甘いジュースが出来上がります。それを加熱して水分を飛ばすと、独特の風味がある美味しい水飴や飴になります。我々日本人にとってお馴染みなのは「たんきり飴」でしょう。また、ビールやウィスキーはこの搾ったジュースが原料です。(ちなみに、ウィスキーの場合には、発芽させた麦をピート(泥炭)を使って乾燥させるので住もーキーな風味が付きます。)
さて、この麦芽、甘くておいしいだけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
そこで、栄養補給の目的も兼ねた飲料「Horlicks」が産み出されました。1873年のことで、最初は乳児用の食品だったようです。20世紀の初頭には、北極探検で有名なピアリー、南極探検で有名なアムンゼンとスコットの探検隊にも食料として採用されました。
この「Horlicks」は現在でも販売されており、販売元は有名な製薬メーカーであるグラクソ・スミスクラインです。(私も、この記事を書くのに調べて改めて知りました。少しびっくりです。)
一方、この記事の主役である「ミキサー」の方なのですが、調べてみても現在販売されている様子はありませんでした。ここからは単なる推測なのですが、今の「ホーリックス」は粉が溶けやすいように改良が施されて、ミキサーが不要になったためではないかと思います。逆に昔は溶けにくくて苦労していたのでしょうね。