英国では、12月25日のクリスマス・デーと12月26日のボクシング・デーがクリスマスの祝日で連休となります。
教会
普段はサンデー・サービス(日曜礼拝)に行かない人でも、クリスマスの日には、軽く朝食をとった後、礼拝に行く人が多いようです。 英国でのクリスマスの過ごし方は、日本の正月三が日のようなもので、家族が揃う機会でもあります。
女王陛下のクリスマス・メッセージ
教会から帰ってきた後、次々と親類が集まりだします。クリスマス・ディナーはサンデー・ディナー同様、昼過ぎの2時頃に始まります。午後3時からは、恒例の女王陛下からのメッセージがテレビで流されます。
クリスマス・ディナー
クリスマス・ディナーではまず、本人、両親、義両親、兄弟、義兄弟などの中から、誰がホストになるのかを決めなければなりません。時には揉める原因にもなるそうです。そして、クリスマス前には、それぞれへのクリスマス・プレゼント・ショッピングを済ませなければならないなど、かなりのストレスの原因になります。それでも、皆クリスマスを楽しみにしているようです。
クリスマス・クラッカー
ディナー・テーブルには、各々の席に、クリスマス・クラッカーが並べられています。それを両隣の人と引っ張り合うと、「パン!」と爆発して、中に詰められている簡単なプレゼントが出てきます。値段によって中身の質は違いますが、一般的には子供用には安いおもちゃ、大人用には小物のアクセサリーようなもの、そしてすべてのクラッカーに紙で作られた王冠とクイズが書かれた紙が入っています。それぞれがそのクイズを出し合いながら場を盛り上げ、この紙で作られた冠をかぶって、ディナーが始まります。
ロースト・ターキー(七面鳥)
クリスマスのメインディッシュといえばローストターキー(七面鳥)。スタッフィング(Stuffing)と呼ばれるセージやナッツ、挽肉、ドライフルーツなどを詰め込んだ七面鳥を焼き上げたものです。付け合せは、ロースト・ポテト、茹でたにんじん、芽キャベツなどの野菜。それらに、グレービーやクランべりー・ソースをかけて食べます。一般的にはホストである家主(普通は男性の役割)がこれを切り分けます。
クリスマス・プティング
極めつけのクリスマス・デザートといえばクリスマス・プティング。ドライフルーツ・スパイス・ラード・砂糖を混ぜ合わせたものを熟成させ、クリスマスに蒸し上げたものです。ディナーの最後に、部屋を暗くして、ブランデーをかけて燃やした後、切り分けて、クリームをかけていただきます。プディングの中に銀紙で包んだコインや指輪などを隠して、切り分けられたケーキにそのコインなどが入っていたらラッキー、と翌年の運勢を占ったりもします。
ミンスパイ
Mince(ミンス=ミンチ=ひき肉)Pieも、クリスマスには欠かせない一品。昔は、ひき肉が入っていたらしいのですが、今では、ドライフルーツ・スパイス・ラード・砂糖を混ぜ合わせたものが入っています。形は丸く小さい(径5cmくらい)のもので、パイ皮に包んでオーブンで焼き上げます。伝統的には、ミンスパイは、Jesus Christ(イエス・キリスト)の12使徒にちなんで12個焼き、それをTwelfth Night と呼ばれる十二夜の1月6日まで毎日1個ずつ食べるらしいのですが、今ではスーパーで買う人が大部分ですし、自分で焼いても12個だけ焼くということはあまりないのが実情です。
チーズ
日本では、デザートは食事の最後に、コーヒー、紅茶などと一緒にいただきますが、英国では、デザートは単品でいただきます。そして、そのデザートも最後ではありません。次にチーズが登場します。ウォーター・ビスケット(日本でいうクラッカー?)と一緒に、実に様々なチーズが登場します。英国のチーズといえばスティルトン(Stilton) チーズです。かなり匂いのきつい、独特なコクのあるブルーチーズで、私は苦手なのですが好きな人によると、ポート・ワインとよく合うそうです。
チョコレート
そして、コーヒー・紅茶などの飲み物とボックスに入ったチョコレートで締めくくりです。好みのチョコレートを選ぶのも楽しみの一つのようです。ちなみに、英国人は、ミント入りチョコレートが大好きです。私も、初めて食べたときには、チョコレートの中に、ミントの歯磨き粉が入っているような風味が苦手でしたが、慣れてくると、ブラック・コーヒーに良く合うことを発見しました。
これらのクリスマス料理は、日本でいう「おせち料理」のようなもので、日持ちするものばかりなのです。クリスマス・ホリデー中は家事を一切せず、食べては寝る生活になるうえ、プレゼントの多くは、チョコレートやビスケット類も含まれています。このため、この時期には、体重がぐんと増えてしまいます。
なお、キリスト教では、クリスマスから十二夜(公現節)後の13日目の1月6日の間にクリスマスツリーを片付けます。