イギリスの話 ポテト料理
日本人にとってお米が欠かせない主食であるように、英国人にとっては、やはりジャガイモは欠かせないものなのでしょうね。ここでは、ポテトの料理をご紹介します。
ポテト スキン
イギリスのレストランでは、「ポテト・スキン(ジャガイモの皮)」という料理などまで、ちゃんとメニューにあるのだから驚きです。何もわざわざレストランでポテトの皮など食べなくてもいいのに…と思って、好奇心で頼んでみると、以外においしいのです。中身をくりぬいたポテトの皮の中にベーコン・チーズなどを入れて、オーブン中でカリカリに焼いたものをサワー・クリームをつけて食べるのですが、やみつきになりそうです。
チップス
日本では「フライド・ポテト」と呼ばれていますが、イギリスでは「チップス、Chips」です。色々な料理の添え物としてお馴染みですが、特に「 フィッシュ、アンド チップス Fish and Chips」といえば、お馴染みの名物料理です。今では「Take Away /テイク・アウェイ」(米語や日本では「Take Out/テイク・アウト」ですが)、のスタンドでは、わら半紙に包んでくれますが、一昔は新聞紙に包んで渡してくれ、その新聞紙にくるんだまま、ビネガー(酢)と塩を振って食べる、英国庶民の大好物の一品でもあります。ちなみに日本で言うところの「ポテト・チップス」は、イギリスでは「クリスプス Crisps」と呼ばれています。
ジャケット ポテト
ジャケット・ポテトとは、オーブンで丸ごと焼いたジャガイモ(ベイクド・ポテト)を半分に割り、中身をつめた料理のことです。ジャガイモの皮をジャケットに見立てているのでこの名前がついたようです。
フィリング(またはトッピング)は、ただのバターとみじん切りのパセリの他、コールスロー、チェダーやゴーダなどのナチュラル・チーズを削ったもの、ツナ缶の油を切ってマヨネーズで和えたもの、サワークリーム・カリカリに炒めたベーコンなど、お好みのものをのせます。
ロースト ポテト
伝統的なイギリス料理であるロースト・ディナーに欠かせない付け合わせが、ロースト・ポテトです。ロースト・ディナーの主役はローストしたビーフ、ポーク、ラムあるいはチキンですが、その肉をオーブンに入れて弱火でじっくりと焼き上げる際、肉から油や肉汁が出てきます。それを何度もスプーンで肉にかけるのですが、その時、一緒に入れているジャガイモ(下準備として塩を少々入れた水で10分ほど茹でておく)にかけることで、より美味しい味になります。
最近では、子供が成人して夫婦2人だけになってしまった家庭など少人数の場合には、日曜日でも家で作らず、パブで済ませることが多いようです。しかし、イギリスのパブのロースト・ディナーは、おいしさに当たりはずれがあるようです。勿論、家庭でのロースト・ディナーも作り方でずいぶん違うようですが、一番のコツは温度かもしれないですね。
友人はAGA(アガというオーブン)でローストするのですが、とってもおいしいのです。皮をむいたジャガイモを2,3ヶに切り分け、塩ゆでして、茹で上がる前に取り出し、さめてから、ラードなどのオイルを絡めて、オーブンで焼くだけですが、入れるときにオイルが完全に熱していることがコツのようです。45分ほどで出来上がりますが、その間に、何度も、肉から出たオイルを、かけてあげることも必要です(ひっくり返すことも忘れずに)。
ロースト・ディナーは、慣れてしまえば、オーブンにいれて待つだけですし、皆で揃って会話を楽しめながら取れる(主婦が動き回る必要のない)ディナーですので、ぜひ試していただきたいですね。
マッシュド ポテト
日本人にもおなじみのマッシュド・ポテトは、日本ではサラダやコロッケに使いますよね。英国でも、サラダや、ホット・ディッシュ(温かい料理)の付け合せやサラダにも使いますが、やはり使用頻度の多い料理としては、シェパード・パイやコテージ・パイでしょう。
シェパード・パイ(Shepherd’s Pie)のシェパードとは、羊飼いのことで、中身はラム肉のミンチです。それにグレービー・ソースで味付け、その上にマッシュド・ポテトを乗せたものをオーブンで焼き上げたアイルランド地方の料理です。
コテージ・パイは中身がビーフで(ロースト・ビーフの残ったものを使うことが多い)、同様にグレービーで味付けをし、その上にマッシュド・ポテトを乗せたものをオーブンで焼き上げます。また肉の代わりに魚を使った場合は、フィッシャマンズ・パイと呼ばれます。
ボイルド ポテト
ボイルド・ポテト(茹でたジャガイモ料理)には、大体ニュー・ポテト(新じゃが)を使います。それをバターまたはオリーブ・オイルとパセリのみじん切りまたはミントの葉などのハーブを絡めたものを、メイン・ディッシュの添え野菜としていただきます。