英国の銀製品に刻印されているホール・マーク
イギリスの銀製品には、この写真のような「ホールマーク・Hall Mark」が
刻印されています。この「ホールマーク」の刻印の歴史は、1363年まで遡り、
1478年からは製作年を示すアルファベットの刻印が付けられるようになりました。
多くの場合、4~5個のホール・マークが組み合わせられ、銀の品質を保証する
検定印の役割を果たしています。
典型的なホール・マークの例を下の写真に示します。この意味するところは、
「純銀(銀含有量92.5%以上)」・「分析地ロンドン市」・「1789年製造」・
「ジョージ3世期」・「製造者Thomas Wallis」となります。
では、順を追ってご説明しましょう。
①.スタンダード マーク Standard Mark:
銀の純度保証です。スタンダード マークには次のような刻印があります。
エンブレムに詳しい方ならば、ピンとくるかもしれません。
例えばAならばイングランドのライオン、Eならばアイルランドのハープです。
特にAは「ライオンパサント」と言われています。
そのほかは下記の通りです。
B – ブリタニア・Britannia 純度95.8%以上の銀
(1697 – 1720年の間だけ使われた)
C – グラスゴー・Glasgow 純度92.5%以上の銀
D – エジンバラ・Edinburgh 純度92.5%以上の銀
E – ダブリン・Dublin 純度 92.5%以上の銀
また、英国貨幣のSterlingの銀の含有率が92.5%であったことから、
92.5%以上の純度(含有率)の銀を純銀(Sterling)と呼ぶことがあります。
②シティ マーク・City Mark:
1378年から導入された制度です。
英国内のどのアッセイ オフィスで検定を受けたかを示すもので、次のようなものがあります。
ロンドン・London:1300年~現在
バーミンガム・Birmingham:1773年~現在
チェスター・Chester:1701年~1961年
ダブリン・Dublin:1636年~現在
エクセター・Exeter:1701年~1883年
エジンバラ・Edinburugh:1681年~1974年
シェフィールド・Sheffield:1773年~現在
グラスゴー・Glasgow:1681年~1964年
ニューカースル・Newcastle:1702年~1884年
ヨーク・York:1560年~1857年
③デイト レター・Date Letter:
1478年に導入された制度です。
アルファベット一文字で検定を受けた登録年(通常5月で年度が替わる)を示し、
全部一回りすると 大文字・小文字など字体を変えて循環させることで製造年が
分かるようになっています。
④デューティ マーク・Duty Mark:
ジョージ3世期から1890年まで銀製品にかけられていた税金を支払ったことを
示します。その時代の君主の肖像の刻印されているのが特徴です。
1. 1785 (1784.1.12から)
2. 1786 – 1821
3. 1822 – 1833
4. 1834 – 1837
5. 1838 – 1890
⑤メーカーズ マーク・ Maker’s Mark:
1363年に導入された制度です。製造者を表します。
そのほか、輸入品であることを示す”Import Mark”が刻印されていることもあります。