英国の銀行事情
英国の銀行事情と日本の銀行事情は少々違います。
生活している体験から 記事を書いてみました。
銀行口座
日本では、小切手の利用が出来る当座預金はあまりなじみがないかもしれません。法人の場合でも、当座預金を利用する企業は減ってきているように思います。しかし、英国は小切手社会で、大体の決済は小切手で行う事が通常です。個人でカラント・アカウント(Current Account)を開設すると、チェック・ブック(Cheque Book:小切手帳)を含め、チェック・ギャランティ・カード(Cheque Garantee Card:小切手の保証をするカード)が無料で提供されます。(なお、法人の場合には、小切手を現金化する際には、一枚ずつに対して手数料がかかります。また、銀行により手数料が異なります。)
英国で暮らしていると、個人売買の代金の支払いや買い物の際の返金などで小切手を受け取る機会が多くなります。このため、銀行口座を持っていないと、とても不便です。受け取った小切手は、自分の口座のある銀行に持っていくと、3~4日で現金化され、自分の口座に入金されます。この手続きは「普通口座」でも「当座口座」でも構いません。ですので、自分が小切手を使うことがないとしたら「普通口座」だけを開設すれば良いことになります。ただ、小切手には受取人の名前が書いてあり、その名義人の口座以外では換金できないため安全であるというメリットがあります。
次に、自動引き落としですが、2種類あります。スタンディング・オーダー(Standing Order)と呼ばれる毎月の定額自動引き落としと、ダイレクト・デビット(Direct debit)と呼ばれる公共料金など月によって異なる額の自動引き落としです。日本でも自動引き落としは普通で、引き落とし日の前には残高のチェックが必要ですが、小切手を日常生活で使う場合には更に注意が必要です。もし、充分な残高がないのに小切手を切ってしまうと、高額な罰金をチャージされてしまうことになります。
銀行口座開設方法
英国で銀行口座を開設するには、最低1ヶ月かかると言われています。特に、9.11事件(テロによるツイン・タワー倒壊事件)以降、マネー・ロンダリングを防止するため、あるいは脱税や不正送金対策として、本人確認が非常に厳しくなったことが原因です。
英国での銀行口座の種類は、大きく2つに分けられます。セイヴィング・アカウント(Saving Account)と呼ばれる金利の付く普通預金と、カラント・アカウント(Current Account)と呼ばれる、小切手は作れるが金利が一切つかない当座預金です。また銀行以外では、ビルディング・ソサエティ(Building Society)という金融機関でも口座は開けます。
必要書類は身分証明書(例えば、パスポートや、学生の場合には学生証など)のほか、電話やガスなど公共料金の請求書といった住所が確認できるものも必要です。
英国に在住していると、お金の受け渡しに小切手を使う機会が増えてしまいます。小切手を現金化するためには、どうしても銀行口座が必要になるのですが、小切手を現金化する場合には、普通預金の口座でも、当座預金の口座でもかまいません。
現金とキャッシュバック
英国で暮らし始めると、すっかり現金を持ち歩くという習慣がなくなってしまいました。現金は小銭程度しか必要ないので、持ち歩かなくなってしまったのです。実際、私の財布の中の現金は£10も入っていれば多いほうです。使うとしても、パーキング(駐車)料金くらいなので、小銭があれば充分なのです。自動販売機を使う事はありません。そもそも、見かけませんから。お店でも嫌がられることなくカードを使えます。たとえ£5以下の買い物であってもです。また、個人売買の場合でも小切手が使われることが多いので、現金が必要になる場合が本当に少ないのです。また、支払いには日本でもお馴染みのデビットカード(Debit Card)を使うことができます。
とは言え、全く現金を持ち歩かないわけにはいきません。さりとて、わざわざお金を引き出しに行くのも面倒という場合、「キャッシュ・バック(Cash Back)」がとても便利です。日本でキャッシュ・バックというと、何かを買ったときに代金の一部を戻してくれるサービスのことですが、英国では違います。例えば、大手スーパーの「テスコTesco」 や「セインズバリーSainsbury」で買い物の支払いをデビット・カードDebit Cardでした場合、“「キャッシュ・バック」=Cash Backしますか?”と尋ねられます。
最初に聞かれたときは、日本で使われる「キャッシュ・バック」の意味しか知らず、面喰いましたが、その意味は、買い物の支払いをデビット・カードDebit Cardでした場合に、レジで現金を引き出せるサービスのことなのです。
例えば、買い物の合計金額が30ポンドだったとします。「キャッシュ・バック」=Cash Backしますか”と聞かれて「20ポンドお願いします」と答えると、レジの人は20ポンドの現金を私に手渡してくれて、買い物分30ポンド+現金分20ポンドの合計50ポンドがカードで引き落とされることになります。CD(キャッシュ・ディスペンサー)で並ばなくても、現金が必要なときには、買い物のついでに引き出せるので、結構便利です。
入金・振込
英国にも現金自動引き落としきはあります。CD(Cash Dispenser:キャッシュ・ディスペンサー)と言いますが、本当に現金を引き出すことしかできません。日本のATMのように入金や振り込みが出来ないのです。入金する場合は、銀行に出向いて手続きをしなければなりません。その場合には、小切手帳の後ろ側についている自分専用に印刷された「入金小切手」、または、銀行に備え付けられている「入金小切手」に名前、口座番号などを記載して手続きをします。銀行内に入金専用機械もあるのですが、機械の横に置いてある「専用封筒」にお金と入金票を入れて、機械に投入するだけのものです。銀行が込んでいて長い列ができているときには利用する事もありますが、あまり優れたものではありません。
ただ、英国は小切手社会ですから、送金も小切手を郵送する事がほとんどありません。このため、銀行振り込みができる機械は必要はないのでしょう。
英国の銀行 トラブル編
1988年に英国で「マーズスピード」を立ち上げ、銀行取引を始めたときのことです。そのときは、個人的な銀行口座をもっていたものの、法人としての英国との銀行取引などなく、何もかも初めてのことばかりでした。しかも、日本と英国間を行ったりきたりで、英国の会社を留守にすることが多かったため、英国人で信頼できるマネージャークラスの人物が欲しいと思っていたところ、取引していた英国の知人から「ちょうど適切な人物を知っている」と言う事で、ある人物を紹介してもらいました。
日本にいる際には、充分な現金を英国の会社名義の口座に入れていましたから、全く心配していなかったのですが、その後、英国に戻り、銀行口座の残高を照会すると、ほとんど残高がないではありませんか。
驚いて銀行に出向くと、その紹介してもらった人物が自分でその銀行に出向き、自分の署名で小切手を発行できる手続きをとり、銀行は口座の主である私たちの許可を得ずに、その手続きを許可してしまっていたのです。「そんな馬鹿な」と思いましたが、ここは日本ではなく、英国なので、日本の常識は通用しないのかとも考えたりしました。しかし、色々な英国人の友人に聞いても、そんなことは前代未聞だと口をそろえて言います。
そこで、弁護士に相談すると、完全に銀行側の落ち度だと言い、全面的に銀行と争うことになりました。通常なら日本でそのような事が起こった場合、多分、すぐに銀行側は謝罪する事と思います。しかし、ここは英国。謝るどころか、「会いに来たいのなら、アポイントをとって手続きしろ」です。しかも、その人物が使った金額が、「個人で使ったものなら、それを証明しろ。そうしたら弁償する」です。怒りも限界に来ました。
会社のために買ったものでも、必要ないものがほとんどです。運転資金にと大事に工面していたお金を、他人に勝手に使わせる銀行が存在する事自体、驚きです。
結局、100%銀行側の不手際ということで、全額弁償ということで解決しましたが、英国では、このような事が日常茶飯事です。それ以降は、「自分でしなければならないことは、他人に頼らず、自分で解決する」、と肝に銘じています。
英国の銀行事情と日本の銀行事情は少々違います。
生活している体験から 記事を書いてみました。
銀行口座
日本では、小切手の利用が出来る当座預金はあまりなじみがないかもしれません。法人の場合でも、当座預金を利用する企業は減ってきているように思います。しかし、英国は小切手社会で、大体の決済は小切手で行う事が通常です。個人でカラント・アカウント(Current Account)を開設すると、チェック・ブック(Cheque Book:小切手帳)を含め、チェック・ギャランティ・カード(Cheque Garantee Card:小切手の保証をするカード)が無料で提供されます。(なお、法人の場合には、小切手を現金化する際には、一枚ずつに対して手数料がかかります。また、銀行により手数料が異なります。)
英国で暮らしていると、個人売買の代金の支払いや買い物の際の返金などで小切手を受け取る機会が多くなります。このため、銀行口座を持っていないと、とても不便です。受け取った小切手は、自分の口座のある銀行に持っていくと、3~4日で現金化され、自分の口座に入金されます。この手続きは「普通口座」でも「当座口座」でも構いません。ですので、自分が小切手を使うことがないとしたら「普通口座」だけを開設すれば良いことになります。ただ、小切手には受取人の名前が書いてあり、その名義人の口座以外では換金できないため安全であるというメリットがあります。
次に、自動引き落としですが、2種類あります。スタンディング・オーダー(Standing Order)と呼ばれる毎月の定額自動引き落としと、ダイレクト・デビット(Direct debit)と呼ばれる公共料金など月によって異なる額の自動引き落としです。日本でも自動引き落としは普通で、引き落とし日の前には残高のチェックが必要ですが、小切手を日常生活で使う場合には更に注意が必要です。もし、充分な残高がないのに小切手を切ってしまうと、高額な罰金をチャージされてしまうことになります。
銀行口座開設方法
英国で銀行口座を開設するには、最低1ヶ月かかると言われています。特に、9.11事件(テロによるツイン・タワー倒壊事件)以降、マネー・ロンダリングを防止するため、あるいは脱税や不正送金対策として、本人確認が非常に厳しくなったことが原因です。
英国での銀行口座の種類は、大きく2つに分けられます。セイヴィング・アカウント(Saving Account)と呼ばれる金利の付く普通預金と、カラント・アカウント(Current Account)と呼ばれる、小切手は作れるが金利が一切つかない当座預金です。また銀行以外では、ビルディング・ソサエティ(Building Society)という金融機関でも口座は開けます。
必要書類は身分証明書(例えば、パスポートや、学生の場合には学生証など)のほか、電話やガスなど公共料金の請求書といった住所が確認できるものも必要です。
英国に在住していると、お金の受け渡しに小切手を使う機会が増えてしまいます。小切手を現金化するためには、どうしても銀行口座が必要になるのですが、小切手を現金化する場合には、普通預金の口座でも、当座預金の口座でもかまいません。
現金とキャッシュバック
英国で暮らし始めると、すっかり現金を持ち歩くという習慣がなくなってしまいました。現金は小銭程度しか必要ないので、持ち歩かなくなってしまったのです。実際、私の財布の中の現金は£10も入っていれば多いほうです。使うとしても、パーキング(駐車)料金くらいなので、小銭があれば充分なのです。自動販売機を使う事はありません。そもそも、見かけませんから。お店でも嫌がられることなくカードを使えます。たとえ£5以下の買い物であってもです。また、個人売買の場合でも小切手が使われることが多いので、現金が必要になる場合が本当に少ないのです。また、支払いには日本でもお馴染みのデビットカード(Debit Card)を使うことができます。
とは言え、全く現金を持ち歩かないわけにはいきません。さりとて、わざわざお金を引き出しに行くのも面倒という場合、「キャッシュ・バック(Cash Back)」がとても便利です。日本でキャッシュ・バックというと、何かを買ったときに代金の一部を戻してくれるサービスのことですが、英国では違います。例えば、大手スーパーの「テスコTesco」 や「セインズバリーSainsbury」で買い物の支払いをデビット・カードDebit Cardでした場合、“「キャッシュ・バック」=Cash Backしますか?”と尋ねられます。
最初に聞かれたときは、日本で使われる「キャッシュ・バック」の意味しか知らず、面喰いましたが、その意味は、買い物の支払いをデビット・カードDebit Cardでした場合に、レジで現金を引き出せるサービスのことなのです。
例えば、買い物の合計金額が30ポンドだったとします。「キャッシュ・バック」=Cash Backしますか”と聞かれて「20ポンドお願いします」と答えると、レジの人は20ポンドの現金を私に手渡してくれて、買い物分30ポンド+現金分20ポンドの合計50ポンドがカードで引き落とされることになります。CD(キャッシュ・ディスペンサー)で並ばなくても、現金が必要なときには、買い物のついでに引き出せるので、結構便利です。
入金・振込
英国にも現金自動引き落としきはあります。CD(Cash Dispenser:キャッシュ・ディスペンサー)と言いますが、本当に現金を引き出すことしかできません。日本のATMのように入金や振り込みが出来ないのです。入金する場合は、銀行に出向いて手続きをしなければなりません。その場合には、小切手帳の後ろ側についている自分専用に印刷された「入金小切手」、または、銀行に備え付けられている「入金小切手」に名前、口座番号などを記載して手続きをします。銀行内に入金専用機械もあるのですが、機械の横に置いてある「専用封筒」にお金と入金票を入れて、機械に投入するだけのものです。銀行が込んでいて長い列ができているときには利用する事もありますが、あまり優れたものではありません。
ただ、英国は小切手社会ですから、送金も小切手を郵送する事がほとんどありません。このため、銀行振り込みができる機械は必要はないのでしょう。
英国の銀行 トラブル編
1988年に英国で「マーズスピード」を立ち上げ、銀行取引を始めたときのことです。そのときは、個人的な銀行口座をもっていたものの、法人としての英国との銀行取引などなく、何もかも初めてのことばかりでした。しかも、日本と英国間を行ったりきたりで、英国の会社を留守にすることが多かったため、英国人で信頼できるマネージャークラスの人物が欲しいと思っていたところ、取引していた英国の知人から「ちょうど適切な人物を知っている」と言う事で、ある人物を紹介してもらいました。
日本にいる際には、充分な現金を英国の会社名義の口座に入れていましたから、全く心配していなかったのですが、その後、英国に戻り、銀行口座の残高を照会すると、ほとんど残高がないではありませんか。
驚いて銀行に出向くと、その紹介してもらった人物が自分でその銀行に出向き、自分の署名で小切手を発行できる手続きをとり、銀行は口座の主である私たちの許可を得ずに、その手続きを許可してしまっていたのです。「そんな馬鹿な」と思いましたが、ここは日本ではなく、英国なので、日本の常識は通用しないのかとも考えたりしました。しかし、色々な英国人の友人に聞いても、そんなことは前代未聞だと口をそろえて言います。
そこで、弁護士に相談すると、完全に銀行側の落ち度だと言い、全面的に銀行と争うことになりました。通常なら日本でそのような事が起こった場合、多分、すぐに銀行側は謝罪する事と思います。しかし、ここは英国。謝るどころか、「会いに来たいのなら、アポイントをとって手続きしろ」です。しかも、その人物が使った金額が、「個人で使ったものなら、それを証明しろ。そうしたら弁償する」です。怒りも限界に来ました。
会社のために買ったものでも、必要ないものがほとんどです。運転資金にと大事に工面していたお金を、他人に勝手に使わせる銀行が存在する事自体、驚きです。
結局、100%銀行側の不手際ということで、全額弁償ということで解決しましたが、英国では、このような事が日常茶飯事です。それ以降は、「自分でしなければならないことは、他人に頼らず、自分で解決する」、と肝に銘じています。