時代様式 ジョージアン 1714-1811年
18世紀,英国王家はハノーヴァー家に変わり,国王の名は「ジョージ」が4世代も続きます.そこで,ジョージ1世から3世までの1世紀をジョージアンと呼びます.
(なお,ジョージ4世は,「リージェンシー」という時代に入れられています.)
ただ,これでは期間が長すぎるので,期間を半分ずつに区切り,それぞれ,「前期」,「後期」と分ける場合もあります.この場合,多少時期はずれますが,「前期」はジョージ1世と2世,「後期」はジョージ3世の時代にそれぞれ対応します.
この時期,ヨーロッパでは近代化が進みます.
特にいち早く産業革命を経験した英国は,貿易や植民地支配の成功も加わり飛躍的に発展しました.
一方,芸術の分野では,ロココ様式,次いで新古典主義の影響が強く現れます.
ロココ様式は既に18世紀からフランスを中心に流行していましたが,
英国へは1740年頃に伝わってきました.その結果,この当時の内装は
大理石,石膏,金箔や絹などをあしらった,英国の富を象徴するような
非常に豪華なものになりました.
また,東洋の陶磁器や漆工芸品が大量に輸入され始めたのもこの頃です.
同時期,家具の世界では,トーマス・チッペンデールが登場します.
彼の名前は「チッペンデール様式」として,英国家具の代名詞とも
言える形で残っています.彼の作品の代表としては,
「クィーン・アン」,「ロココ」,「シノワズリ」が挙げられます.
次の特徴が新古典主義です.
これまでも古代ギリシア・ローマの文化はヨーロッパ文化の模範でした.
そして,イタリア・ルネッサンスは,その復興と考えられていました.
ところが,古代遺跡の発掘・研究が進むと,どうもそれが怪しい
ということが分かってきたのです.
そこで,古典を実証的に見直そうとする動きが興りました.
もし,それだけで終わったのなら単なる「古典主義」でしたが,
古典を手本に新たな創造が起きました.
それが「新古典主義」です.
その代表は建築家ロバート・アダムでしょう.
彼は建築設計だけでなく,カーテン,カーペット,
家具・調度品といったインテリアまでトータル・デザイン
を手がけました.そして,アダム・スタイルという
一つの様式を確立しました.